春夏通じて初めての出場となった飯山高校(長野)
初戦で敗れましたが、山あいにある人口約2万の小さなまちが沸きました。
【大応援団が甲子園へ】
長野県北部にある飯山市。飯山高校は市内にあるただ1つの高校です。晴れ舞台での選手たちを一目見ようと、甲子園にはバス70台、約3000人の大応援団が詰めかけました。試合前からアルプススタンドの開門を待つ人たちで長蛇の列ができ、「飯山ってこんなにたくさん人いましたっけ?」と笑う人もいるくらい、まさにまちを挙げての応援です。
【つえをつきながらの人も】
中にはこんな人もいました。飯山市に住む田中尚武さん(77)と妻の陽子さん(72)は娘夫婦と孫の5人で車で8時間かけて来たそうです。陽子さんは股関節の手術をしたそうで、両手をつえで支えながら歩いていますが、「こんなこと一生でなかなかないでしょ!冥土の土産に来たいと思って」と冗談混じりに話していました。高速道路のサービスエリアなど、甲子園に向かう途中でも、たくさん知り合いに会ったそうで「今、飯山は人がいなくてガラガラなんじゃないですか」と笑っていました。
【アルプスからのサポート】
大応援団でびっしりと埋め尽くされた一塁側のアルプススタンド。
先発の岡田恵太投手がストライク1球を取るごとに球場は大きく沸き、3回には大川陸選手が先制のタイムリーヒットを打つと地鳴りのような大歓声が響き渡りました。それでも相手は28回目の夏の甲子園の強豪。地力を見せつけられ、5回に10点を奪われるなど、苦しい展開。結局、24本のヒットを浴びて1対20で敗れましたが、それでも大応援団は最後まで声をからしました。岡田投手は「マウンドからアルプスの応援団がよく見えた」、大川選手も「大きな声援が力になった。期待に応えたかった」と感謝しました。
【“飯山の誇り”】
試合のあと、飯山市から応援に来た人たちからは「何点取られても、歯を食いしばって頑張っていた。勇気をもらえた」とか、「甲子園に連れてきてもらえたことだけでもありがたい。飯山の誇り」という声が聞かれました。
人口約2万人の小さなまちを沸かせた飯山高校の選手たち。胸を張って地元・飯山市に帰ってほしいと思います。
【甲子園取材班:武田善宏 記者】