奈良時代、月夜に池に身を投げたとされる女官の霊を慰める伝統行事、「采女祭」が中秋の名月だった24日夜、奈良市で行われました。
「采女祭」は奈良時代、天皇に仕える女官「采女」が、天皇のちょう愛が薄れたことを嘆き、月夜に身を投げたという伝説にちなんで、毎年、中秋の名月の夜に行われています。
観光名所として知られる奈良市の猿沢池では、雅楽の調べのなか、女官にふんした女性たちが、色鮮やかな2そうの船に乗り、灯ろうが浮かべられた池をゆっくりと進みました。
そして、池の中央に秋の七草などで飾られた2メートルほどの大きさの扇を投げ入れ、采女の霊を慰めました。
24日夜の奈良市はあいにくの曇り空でしたが、時折、雲間から漏れる淡い月明かりのもと、池のほとりには大勢の人たちが集まり、幻想的な行事に見入っていました。
大阪から小学生の子どもと訪れた女性は「一度見たいと思っていたのでよかったです。とてもすてきで来年は別の場所からも見てみたいです」と話していました。