夏の甲子園の開会式で注目を集めるのが選手宣誓。ことしは、北北海道の滝川西高校のキャプテン、堀田將人選手がつとめました。4日の組み合わせ抽選会で、18人のキャプテンによるくじ引きで大役を引き当てた堀田選手は、「これだけ驚いたのは人生でも初めて」といいます。
甲子園の大舞台でどんなメッセージを伝えるのか。堀田選手は、チームメイトや監督からアドバイスをもらいながら、1日かけて選手宣誓の原稿を考え抜きました。
そして、本番同様に行われた開会式リハーサルで、選手宣誓を初めて披露することになりました。リハーサルでははじめに入場行進が行われ、堀田選手の滝川西高校は去年、優勝した栃木の作新学院に続いて、2番目に行進しました。そして、外野のグラウンドで、他の高校が入場するのを待っていた堀田選手はあこがれの甲子園球場を眺めながら、ある光景が頭に浮かびました。それは、高校で開かれた出発式で、休みにもかかわらず多くの生徒や市民が集まって盛大に送り出してもらった様子でした。実際に甲子園に立ってみて、身近な人だけでなく、多くの人たちの後押しを受けて、この舞台に送り出してもらったことに気づいたのです。
「選手宣誓を通して、これまで支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝えたい」。堀田選手はリハーサルの最中に、選手宣誓の原稿をアドリブで変えることを決めました。事前の原稿では、「多くの方々の支えがあった」としていた部分に、「応援して下さる」という言葉を加えて、「応援してくださる多くの方々の支えがあった」と、より具体的な表現に変えて、リハーサルで選手宣誓をしました。わずかな言葉の違いの中に、堀田選手の強い思いが込められていました。
迎えた8日の開会式。前日までは、「1日延期された分、練習時間が長くなってほっとしています」と不安そうに話していた堀田選手でしたが、本番では引き締まった表情で、ひと言ひと言、はっきりと感謝の言葉をのべました。意識したのは、難しいことは言わずに、シンプルな言葉で自分の思いを伝えることでした。その言葉に込められた気持ちは、地元の人たちをはじめ、多くの人の心に届いたと思います。
「100点です」。開会式終了後、すがすがしい表情で答えた堀田選手。甲子園は、人間的にも高校球児を成長させてくれる場所だと、改めて感じました。
(以下、宣誓全文)
宣誓
私たちは今、この甲子園球場に立てていることを誇りに思います。ここに辿り着くまでには、たくさんの厳しい試練や困難がありました。それを乗り越えられたのは、仲間、家族、監督、そして、応援してくださる多くの方々の支えがあったからです。幼いころから、真っ白なユニフォームが真っ黒になるまで練習し、真っ白なボールを真っ暗になるまで追いかけてきた、全国の高校球児の思いを胸に、最後まで諦めず、正々堂々と全力でプレーすることを誓います。
平成29年8月8日、選手代表 北海道滝川西高等学校野球部主将 堀田將人
(甲子園取材班・種綿義樹)
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